2017年3月1日水曜日

「奇跡の営業所」はマネージャになる前に読んで欲しい

奇跡の営業所を読みました。
奇跡の営業所

まず、リーダーになる人には読んで欲しい。
優れたリーダーシップ書ですよ。これは。

簡単にあらすじを説明すると、主人公の吉田和人は電話回線会社の雇われ営業所長になります。ここに個性的な面々が集められ、光電話の回線キャンペーンで全国一位になるまでの物語です。
これだけだと、よくあるストーリーですけれど、読者の声がすごいのです。
もちろん、読者感想だけではなく、具体的なテクニックがちりばめられています。

たとえば、営業鞄はアタッシュケースはダメ。大きなファスナーが2つある置いても倒れないタイプ。
しかもダサい鞄がいい(理由は本書をよんでください)。

本当は、いま営業マネージャの人に読ませたい本ですけれど、これは実践が難しいと思います。

マネージャは今のやり方をいきなり変えられません。
なぜかといえば、やり方を変えるためには自分自身が信じてきたことを「間違っている」と否定する必要があるからです。
本書に出てくるラッキョウこと田島本部長はそうした変えられない人の代表なのでしょうね。 

だから、これからマネージャになる人がいい。マネージャになる前の人に読んで欲しい。

将来、営業マネージャ-、いや、営業に限らずメンバーを率いる「長」となる人は教養として読んでおくといいです。

本書を簡単にいえば、箸にも棒にもかからない人たちを諦めず、信頼できるチームに育てる物語です。

こうしたビジネス書にありがちな、オレ流のやり方だったらうまくいく! というタイプの本でありません。

本書はそうした根性や精神論とはまったく無縁の、いわば水の流れのように自然に売れるようになる営業の本です。
営業の世界は変わりました。
これ買ってくださいと頭を下げて売っていた時代はもう昔のことです。
マニュアルを暗記して、その通りにしゃべりなさいでもうまくいきません。

そう、スパイ大作戦型です。
昔、スパイ大作戦というテレビドラマがありました。
最近もBSで再放送しているので懐かしく見ています。

登場人物にはそれぞれに特技があります。
変装が得意、機械工学のエキスパート、力持ち、美貌を武器に相手に取り入る等々。
そういえば、スパイ大作戦の原題はミッションインポッシブル(直訳すると不可能な任務)です。
成功させたら、それこそ奇跡のミッションなのです。

奇跡つながりで「奇跡の営業所」でも様々な特技を持つ登場人物がいます。
他はダメダメでも、アポイントメントが得意、説明が得意、書類チェックが得意という人。
それぞれの個性をチームというジグソーパズルに当てはめる。
そうすると静止画のはずのジグソーパズルは勝手に動画として動き始めるのです。
精神論ではなくチームという仕組みで動かすわけで、問題が起きたとしてもチームが独自に考えて解決します。
平易に書かれているのに自律チーム論だったりします。

本書のモデルになった吉見範一さんとは、2008年頃に品川の商工会議所セミナーで講師として登壇されたとき始めてお会いしました。
いまだに、ものすごいショックだったことを覚えています。
『営業って、大企業が得意な人に中小企業を担当させたり、中小企業が得意な人に大企業を担当させたりするでしょ。全員に平均に割り振ったから平等だよっというの。これダメなんだよ。得意な人には得意なことさせてあげなきゃ』

ががーん!

そう、確かに大企業向けの営業スキルと中小企業向けの営業スキルは違います。
大企業は役所と同じだから時間がかかる。
中小企業は幹部の即決で決まる。
用意する資料そのものも違う。

だから得意不得意がある。だから一緒くたにしたらダメ。

この日から吉見さんのファンになりました。

吉見範一さんの公式サイト

吉見さんは天才です。
ご本人は謙遜されていますけれど、難しいことをいとも簡単にやり遂げてしまう。
これを天才といわずしてなんといいましょう。
しかも、吉見さんのいうことは、誰でも簡単にできることばかり。
ただし、森川さんの翻訳があってこそ。

森川滋之さんは天才吉見さんの話をことこまかくかみ砕いてくれます。

これもまた、吉見さんがセミナーを開催すると聞いて、その日、あいにくの台風のさなか東京から、横浜の関内に向かいました。
電車も遅れて遅刻ギリギリで間に合いました。
でも、会場に入ってみたら50席が満席。外は台風ですよ。
そこでお会いした方が森川さんです。

森川さんには、フラッシュ@ブレインという普通のトランプで発想を磨くゲームを広げるお手伝いをいただきました。
お陰でフラッシュ@ブレインは、北は北海道から、南は四国、西は沖縄、海外では韓国釜山までジワジワ広がっています。

さて、森川さんは吉見さんの言葉を翻訳してくれるのです。

たとえば、吉見さん
「アポ採るのは簡単だから。受付は断るのが仕事だから、まず揺さぶるの」

ここで、森川さん
「吉見さん、それじゃわからない。揺さぶるって、どういうことですか?」

すると、吉見さんは、受付の人を直接揺さぶったら、警備員来ちゃうから(笑)と振ってから、
受付にはこう聞くの。
「アポがないとお会いできないことは重々承知しております。そこで、アポのルールを伺いにまいりました。
もしかすると、月曜日は必ず会議があるから絶対電話しないで欲しいというルールがあるのに、電話してしまったら失礼に当たりますよね」

ここで会場は、ざわめきます。

吉見さんは続けて
「そうするとね、受付だけの判断じゃなくなるから、必ず誰か上の人に聞くでしょう? そうしたらしめたものだから」

「ああ、なるほど受付の権限を越えたことをすれば、責任者につながるということですね」と森川さんがフォローするわけです。

このノウハウ早速、わたし実際に、試しました。
大手の会社でこの手口でアポ採ったら面白いように担当者に会えました。
普通なら担当者を見つけるまで苦労するのに、受付の人が、ピッタリの人をわざわざ探してくれるのです。

奇跡の営業所は森川さんの具体化によって、読むだけでもノウハウが身につくように書かれています。

詳しくは、森川滋之さん の公式ブログ


まずは、第一部を無料で読めるそうなので、かんき出版のページをご覧ください。
冒頭のダサい鞄をあえて選ぶ理由もわかりますよ。


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